名古屋でもミュージカル「モーツアルト」が大盛況!ストーリーや音楽、舞台、役者さんの魅力を感じたまま述べてみました。

名古屋の御園座で公演中のミュージカル「モーツアルト」を観てきました。

劇場は満席!

熟年層から学生まで、幅広い客層でいっぱいです。

劇場のチケット売り場には「19日の千秋楽までチケットは完売しております。」の張り紙が出され、当日券もありませんでした。

そんな「モーツアルト」の魅力を、感想をまじえてまとめてみたいと思います。

目次

ミュージカル「モーツアルト」

1 あらすじ

2 ストーリーや楽曲に思うこと

3 心に残った舞台美術や演出

4 最高峰のキャスト、チーム

5 まとめ

ミュージカル「モーツアルト」

あらすじ

1768年、ザルツブルクの宮廷楽師レオポルト・モーツアルトは、名だたる貴族や名士の前で幼い息子がハープシコードを弾き喝さいを浴びる姿を目の当たりにしています。3歳でハープシコードを弾き、5歳で作曲を始めた”奇跡の子”こそ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトでした。

歳月は流れ、青年ヴォルフガングは故郷ザルツブルクの領主であるコロレド大司教の支配下に置かれていることに息苦しさを覚えていました。

自分の才能を信じ自由を求める彼と、家族との安定した幸せを願う父との衝突。ここから解放を目指すヴォルフガングと、自分の庇護のもとに置こうとするレオポルトの葛藤が始まります。

ほどなくザルツブルクを後にしたヴォルフガングは、職を得るためにマンハイムを経てパリに赴きますが受け入れられず、さらに旅先で母を亡くして失意の中帰郷します。

故郷に戻っても権力者コロレドに背いたままで仕事はなく、現れた理解者ヴァルトシュテッテン男爵夫人の勧めに啓示を感じてウィーンでの音楽活動を決意。再び父のもとから旅立っていきます。

ウィーンに移り住んだヴォルフガングは、マンハイムで知り合ったコンスタンツェとの愛情を深める一方、コロレド大司教と再び対決し、決定的に袂を分かつこととなってしまいました。

1781年ヴォルフガング・モーツアルトの音楽はウィーンで話題を呼び、作曲を精力的にこなす中でコンスタンツェとも結婚。遊び仲間も増えて次第に生活が派手になっていきます。

そんな中ウィーンにやってきた父レオポルトは、皇帝の前での御前演奏やオペラ「フィガロの結婚」の成功に高揚し、おごりを見せる息子に苦言を呈します。しかし絶頂期のモーツアルトにその言葉は届きません。

互いに心がすれ違ったままレオポルトはザルツブルクへ戻り、ほどなく亡くなってしまいます。

妻コンスタンツェとの間にも距離ができ、孤独の中で自分の才能に翻弄されながら次第に心も体も蝕まれていくモーツアルト・・・。

謎の人物から「レクイエム」の作曲を依頼され、父の姿、自分の運命と重ね合わせながら取りつかれたように筆を進めます。

ストーリーや楽曲に思うこと

ミュージカル「モーツアルト」のストーリーに感じられたのは「葛藤」です。

劇中ずっとモーツアルトに寄り添うアマデは、幼少期の自分の姿、才能の擬人化でした。

生身の人間として希望を抱き、恐れや疑いをもち、自由に生きようとす

るモーツアルトと、ひたすら「音楽」という使命を果たそうとする才能

=アマデとの「葛藤」を主軸に、いくつもの「葛藤」が織り込まれてい

くストーリーは複雑ですが心に響きます。

レオポルトとの父子の葛藤、モーツアルトを独占し支配しようとするコロレド大司教という権力との葛藤。

他の脚本ではあまり深く描かれないコロレド大司教との対決は、二人が

歌う「破滅への道」という新曲とともに舞台に厚みをもたらしていたと

思います。

映画「アマデウス」のイメージもあって、生身のモーツアルトという視

点が新鮮でした。

輝きに満ちて怖いものなしのように歌う「僕こそ音楽」、母が死んでも

周りは日常を生きていることに驚く「残酷な人生」、幼少期の”奇跡の

子”を妬み自信を無くす「影を逃れて」。どれも人間モーツアルトの光

と影をよく表しているナンバーだと感じます。

他にも心に残る楽曲がたくさんありました。

今も美しいメロディーが頭の中で鳴っている慈愛に満ちた「星から降る

金」、権力を振りかざすコロレドがマントを翻して歌う「神が私に委ね

たもの」、悪妻として一面的に描かれることの多かったコンスタンツェ

が悩み、揺れる気持ちを歌う「ダンスはやめられない」等々。

音楽的な内容が高く、オーケストラピットでの生演奏と相まってとても

「熱」を感じるステージになっていました。

ストーリーも音楽も密度が高いので、楽に観られるミュージカルではあ

りませんが、再演の折にはまた足を運びたくなる作品です。

心に残った舞台美術や演出

まず、舞台中央に置かれた巨大なハープシコードが、音楽に愛された

モーツアルトの人生を象徴的に表しているようで印象的でした。

本体から階段状に段差を付けたこのハープシコード上を駆け回ったり、

奥行きを感じるパーティー場面を描いたり、演奏会の成功を祝う聴衆の

喝さいを受け止めたり、角度や蓋の有無を変えながら楽器の形状を生か

していく演出に、目も楽しませていただけました。

アマデがずっと携えている小箱が、モーツアルトの才能であったことが明かされる瞬間には、鳥肌がたちました。

最高峰のキャスト、チーム

私が観た8月16日(木)のマチネは

ヴォルフガング・モーツアルト 山崎育三郎

コロレド大司教        山口祐一郎

レオポルト・モーツアルト   市村正親

コンスタンツェ        木下春香

ナンネール          和音美桜

ヴァルトシュテッテン男爵夫人 涼風真世

ウェーバー夫人        阿知波悟美

というキャストでした。以下は特に心に残った5名についての感想です。

山崎育三郎さんは持ち声の美しさに磨きがかかり、近年の様々なキャリ

アがモーツアルトの複雑な人間性や途方もない才能の呪縛を演じる上で

生かされているのを感じました。コミカルな一面も含めてとても魅力的

な役者さんです。また別の舞台も観てみたいと思います。

山口祐一郎さんは、どんな役でも演じられる大スターですが、声が前に

響くタイプの美声なので権力を振りかざすエキセントリックなコロレド

大司教はピッタリはまり役だと感じました。立ち姿も相変わらず美しい。

市村正親さんは、日本のミュージカル界を長くけん引してきたレジェン

ドです!正直いって、この日は高音部がやや不安定だったのと声量に少

し陰りを感じましたが、セリフの明瞭さは際立っていました。その存在

感は作品に深みを与えてくれます。

涼風真世さんは、凛とした美しさで舞台に花を添えてくれました。昔語

りのように静かに歌い始め、徐々に高揚していく「星から降る金」で

は、美しい歌声がステージいっぱいに広がって最後には舞台の背景に溶

け込んでいくようで、まさに天の啓示のような趣でした。

阿知波悟美さんは、「レ・ミゼラブル」「ウィズ」「エリザベート」な

どの舞台やテレビドラマで、独特の存在感を見せる名バイプレイヤーで

す。今回の「モーツアルト」でも、登場すると空気感が一変。舞台にリ

ズムと楽しさを与えてくれました。

その他、社交界や市場、シカネーダと意気投合する場面、仮面舞踏会の

場面などでのアンサンブルの充実ぶりと、劇中では一言も発しないけれ

ど見事にアマデを演じている小笠原爽介くんも、この作品の魅力になっ

ていると思います。

主役から、脇を固める名優たち、そしてアンサンブルのメンバーひとり

ひとりが「人間は自分の陰から逃れられるのか」という葛藤のテーマを

自分のこととして演じているようで質が高く「いいものを観ることがで

きた。」という想いでいっぱいです。

まとめ

映画「アマデウス」の影響もあり、モーツアルトというと甘やかされた

子どもが大人になり切れない人物像が浮かび、幼児のようなのに苦もな

く名曲を生み出す天才というイメージをもっていました。

今回のミュージカル「モーツアルト」は、私たちと同じように希望をも

ち、疑い、恐れ、願望を抱く一人の人間として描かれています。

自分の思いに従って生き、愛を見つけたいと望んでいたのに、あまりの

才能とそのプレッシャーに押しつぶされていく姿は鮮烈でした。

幕開けからラストまで疾走していくモーツアルトの人生は、前述したよ

うにストーリーも音楽も濃密で複雑です。

1度の鑑賞では、受け止められないこと、気づかないことも多いと思い

ます。時を変え、キャストも変えてまた何度も巡り合いたい作品だと感

じています。

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