「この世界の片隅に」に忍び寄る戦争の影と映画版との関係

漂う戦争の影

7月29日放送の「この世界の片隅に」第3話の舞台は、昭和19年6月。

つましく穏やかに暮らす北條家にも、少しずつ戦争が影を落としていく様子が丹念に描かれていました。

初めての空襲警報と防空壕を掘る家族の姿。

砂糖の配給停止を告げられて困惑するすずたち。

食材の不足からタンポポのお浸しや根っこのキンピラ、楠公めしが食卓にのるシーン。

どれも、市井の人々が暗い世相の中にあって優しく、逞しく、ユーモアを忘れないで暮らしていたことを伝えてくれていました。

対照的に、海軍の兵士たちは、来るべき厳しい任務を前に、高揚感と緊張感を漂わせていきます。

遊女リンさんとすずさんの偶然の出会いや、周作がすずさんの幼なじみである水原と遭遇するシーンは、今後の重要な伏線になっていくでしょう。

アニメ版制作委員会の声明は何を意味するの?

7月24日に、アニメ版「この世界の片隅に」の制作委員会が、公式Twitterでドラマ版について「一切関知しておりません」という声明をわざわざ出したのが気掛かりでした。

こうの史代さんによる同じ原作を用い、ロングヒットを続けているアニメ映画版のイメージを踏襲する形で描かれている今回のドラマ。

ドラマ版はいわば「リメイク」ですが、対抗しようとか戦おうとかではなく、あくまでアニメ映画版へのリスペクトとして「Special thanks」をクレジット明記したと報じられています。

この感謝のクレジットに苛立ち、過敏に反応したことが、ネガティブな憶測を生んでいることは、残念でなりません。

26日に、アニメ映画版「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が12月から公開されるというニュースが流れました。また、ロングランを記録し評価が高いとはいえ、メディアそのものの扱いや広がりにテレビと映画の差があることも感じます。

いろいろな大人の事情が絡むことは想像できますが、「拒否、決別」を感じさせるような声明はどうなのでしょう。

同じ原作、同じ心情を共有してアニメ版を尊重しながらテレビらしい表現を目指しているドラマ版を、あえて否定する必要はないように感じます。

法的な争いに発展してしまうのだろうか?と心配しましたが、29日の第3話で同じクレジットがカットされることなく流されたときには、ホッと安堵しました。

ぜひ、ともに心に残る作品として共存して欲しいと思います。

何よりもこのような争い事は「この世界の片隅に」には似合いません。

素晴らしい世界観から、どうぞ離れないで!とひとりのファンとして願うばかりです。

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